アカハラの野鳥日誌

ただの日記

トウネン・ハマシギ・ミユビシギ・ヒバリシギ etc の見分け方これ如何に? 9月5日探鳥記(葛西臨海公園)

雨の朝

 9月。ようやっと夏が終わりになってくれ、いよいよ都内各地では秋の渡りシーズンが開幕しているはず。ということで、半日休みを使って葛西臨海公園に探鳥に行くことにしてみた。でも、出かける前から外は大雨。8時には雨が上がるというウェザーニュースを信じて7時に家を出て葛西へ向かう。

 葛西に着くも、雨は上がっておらず、しかも余計に強く降っているという始末。うまく濡れない場所を通りつつ、鳥類園を1時間ほど探鳥するも出会ったのはどこにでもいるような鳥ばかり。漸くカワセミを見つけたけど、すぐに何処かに行ってしまわれる始末(写真は過去pic)

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8月の炎天下でも見る機会は多い。

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あとはサギ軍団しかいません。

 「これは今日はだめだな」と思った矢先についに雨が本降りに。泣きっ面に蜂とはうまくいったものだなと思う。帰るにも帰れない状態になったので雨宿りをして過ごすことになった。とはいえ、干潮が10時23分でしかも今日は大潮。シギチ探しには最適のコンディションである事を支えにしばらく待ってみる。9時にようやく雨が上がったので、探鳥再開!

鳥ラッシュきたる!

 いよいよ干潮時間まで1時間を切ってきたので、鳥気配が乏しい鳥類園を後にして、海岸の方の干潟に行ってしばらく待っていると…。来ました来ました!

 まずやって来たのはアオアシシギ。ずっと見たかったのに中々出会えなかった代表鳥(簡単に見られるはずなのに)。でも、先々週に初めて東京港野鳥公園で見ることができたので今回は2回目。難なく見つけることができた。一度見た鳥は2回目以降非常に見つけやすくなることが多い気がする(例外もいるので鳥との相性の問題か)。

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左がアオアシシギ

 ちなみに、アオアシシギの隣に居座っているのはウミネコ。数少ない1年を通して見られるカモメの仲間である。

 

 彼らを見ていると、やがて人は立ち入り禁止の奥の野鳥保護区から長いくちばしのシギが飛んできた。ホウロクシギ! 

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すごい存在感。日本で見られるシギの中では最大級。

 5月頃からここにずっといるような気がする。大潮・午前中という条件がそろえば大抵飛んでくるので良いポイントである。今回で3度目の出会い。でもいつも干潟の奥でうろうろしてるので写真の難易度は高め。

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しかしまあ嘴の長さはすごいよね(笑)

 ホウロクシギとよく似たシギにダイシャクシギがいるが、こちらとは相性が悪いようでまだ一度も近くでお目にかかったことがない。ホウロクシギの方がレアなのにね。でも、鳥類園のレンジャーの方のブログ(※1)によるとちょくちょくダイシャクシギも出ているそうなのでその内会えたら嬉しい。

 

ハヤブサ襲来!!

 シギの様子を眺めていたら周りのウミネコやサギたちの様子も含めてなんか急にせわしくなった。奥の渚の島の方でトビがカラスに追い回されてはいるが、どうもそれが原因ではないらしい。

 何だろうと思ってしばらく見ていたら、ネズミの国の方から何やら大きな猛禽類が猛スピードで飛んできた。その場では識別できないと判断し慌ててシャッターを切る。しかし、ピントが合わない…。唯一まともに撮れたのがこちら。

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まともに撮れて……いないな?

 何と、ハヤブサでした。ハヤブサとは相馬市、多摩川に続いて3度目の出会い。個人的に中々会えない猛禽類である。しかし、いつも遠いので1度も綺麗な写真は撮影できていない。もう少し近かったら、もう少し反射神経が鋭かったら…。恐らくもっとクオリティーの高い写真を撮ることもできたのだろう。悔しいがこれは次回の課題である。

 

 

識別の話

 ハヤブサを見送り、別の場所に移動。まだ日本にちらほら残っているツバメが飛び交っている場所があったので双眼鏡を向けて見ると、コチドリくらいの大きさの鳥7羽くらいが水たまりをウロチョロしているのを発見。イソシギだろうと思ったが、予想は外れたようである。

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大きさはスズメと同じくらいか少し大きいくらい。

 めちゃくちゃ識別難しいやつでした。今回は①足の色が黒っぽい、②大きさはスズメ・コチドリ大、③海水環境、④群れで行動、⑤嘴はかなり短めという5点からトウネン(若干赤みがあるので夏羽から冬羽へ移行中or幼鳥)と判断。少なくともこの2羽に関しては。

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採餌に夢中。警戒心はかなり弱め。

 

 

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この子はかなり足が長くてシュッとしてるからもしかして、ヨーロッパトウネンだったりするの…??

 各個体の写真を家に帰ってから精査して見ると、もう本当に混乱するからやめていただきたいんだけど(嬉しさも半分)、足が黄色いヒバリシギと思われる個体が1羽混じっていることに気付いた。それが以下の2枚。

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こちらの方だけ、足が黄色かった。つまりトウネンではない。

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忍び足…。

 初見初撮り、ライフリスト165種目! でもあまり識別に自信ないので詳しい人に意見を聴きたいところではある。

 

 この手のデザインのシギ、非常に面倒くさいことに、よく似た見た目の鳥が何種類もいるので識別が非常に難しい。類似種には秋にやって来て越冬、春に繁殖地へと旅立つハマシギ(写真1)、ミユビシギ(写真2)、春と秋にやって来るキリアイ、淡水域を好むウズラシギ、オジロトウネンなどがいる。

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ハマシギ。冬の福島県の松川浦にて。群れをつくって行動していた。
トウネンミユビシギよりも嘴が下向きでかなり長い印象。

 

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写真2 8月の三番瀬で撮ったミユビシギトウネンより大きい。

 更に、トウネンに混じって稀にやって来るヨーロッパトウネンハマシギに混ざるサルハマシギといったレア種の可能性も考慮すると…。そして、幼鳥か成鳥か、更に夏と冬とで羽色が変わるなんてことも考慮すると、奥が深すぎで間違いなくヌマにはまる。秋のシギチの識別はベテランでも分からないことがあるというが納得である。おまけに人間と同じように個体差があるようなので、一概に鳥類学的に明らかにされている特徴だけで判定しきれないのもこれ事実。だから面白いんだけどね。

 最後に識別簡単! おなじみハクセキレイがいたのでパシャリ。

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都心でも時々見ます。

 9月~10月、伊佐沼や横須賀など渡りのシギチや鷹狙いで行ってみたい場所は山のようにあるので困ったものである。ブログの更新頻度上がると思われるので今後もお楽しみに。

 

※参考資料

1.https://choruien2.exblog.jp葛西臨海公園・鳥類園Ⅱ」(2021年9月5日、最終閲覧)

 

今回見た鳥リスト

ハシブトガラス
ハシボソガラス
キジバト
ドバト
スズメ
ムクドリ
ヒヨドリ
ハクセキレイ
シジュウカラ
カワセミ
トビ
オオタカ
ハヤブサ
ツバメ
ダイサギ
アオサギ
コサギ
カルガモ
キアシシギ
アオアシシギ
ホウロクシギ
トウネン
ヒバリシギ
ウミネコ
カワウ

計25種類