真冬の福島探鳥記① ~大寒波に見舞われた12月のとある1日のフィールドノート 里山編~
毎日暑くて湿度が高いじめじめした日が続いていますね。少なくない数の人が体力を奪われ、夏にウンザリしているのではないかと思います。そんな今日この頃、ブログずっと更新していなかったなということを思い出し、急に何か文章を書きたくなりました。更新できていなかったのは、そもそも夏は平地に鳥がいなくなる、暑くて出かけたくない、忙しいの主に3つが挙げられますかね。そんな暑い夏にぴったり、さむ~い冬の東北の里山、河川で見られる野鳥について、半年以上前のある一日の探鳥を思い出しながら記していこうと思います。この機会に過去pic大放出したいと思います! あんまり鮮明じゃない写真も多いけど(笑)。今日はまず第一弾、里山の探鳥記です。
さて、時は2020年末。この頃、大寒波に見舞われていた福島市では連日のように大雪が舞い、気温は日中でも氷点下、道路は凍結、山は真っ白という状況でした。実家から車で数十分ほどにある里山も一面真っ白け。地面で採餌する野鳥達にとっては非常に食料調達がしにくい厳しい状況。そんな彼らの頼みの綱はピラカンサの赤い実。草陰に身を潜め、赤い実のなる木の前で長時間粘っているだけで様々な種類の野鳥に出会うことができました。
まず、こちらはアカハラ。普段は地面で落ち葉をざっざっとめくってくっついている毛虫などを食べていますが、雪が降ってしまうとそれができなくなってしまいます。なので、数少ない実に集まってきます。ただ、アカハラは少数派なようでこの1羽が最初に一瞬だけ姿を見せたっきりでこの日は観察することがかないませんでした(むしろ、GW頃に多く見られるイメージ)。
アカハラが行ってしまうと次にやって来たのは…
このヒヨドリ、このピラカンサの木がある場所を縄張りにしていたようで、この後やってくる様々な野鳥達をよく思っていない様子でした。たとえば…
自分より体の大きいトラツグミが実にやってきました。さすがにひるんだのかこの日はにらみ合いだけで、互いに存在を気にしつつ実を食べるだけで争いには至りませんでした。
更に臆病なシロハラが来ました。ヒヨドリの目を盗んでは、他の鳥が食い散らかして地面に散乱している実のおこぼれを失敬している様子でした。
そして次にやって来たのは…。
肉食のイメージしかなかったので、ピラカンサにモズがやって来たのは意外でした。これにはさすがにヒヨドリもビビったのでしょう。自主的に何処かへ逃げてしまいました(笑)。
そしてモズと入れ替わりにやって来たのは、
いつも木に張り付いているイメージが強かったのでこれも驚きでした。体がでかい彼らはとても大食漢で、一気に何十粒も実を食べ始めました。これにはヒヨドリも慌てて戻ってきました。そして…バトル勃発!!
この勝負、どちらが勝ったと思いますか? 答えは皆さんのご想像にお任せします。
ここで赤い実を離れてこの日に出会ったその他の冬鳥についても紹介します。ここからは里山で出会ったというよりはその麓や周りの田畑にいた野鳥がメインになります。
まずはこちら。ジョウビタキ女子です。冬は基本的に1羽で行動する鳥です。男女問わず縄張り意識が強く、他の鳥が来ると激怒して追い払います。人間に対しても威嚇行動をとる場合があります。
続いてこちら、冬鳥の代名詞と言っても良いかもしれませんね。
里山のほど近くの休耕田に優に100羽を超える数のオオハクチョウ(コハクチョウもいたかも)が休んでいました。水辺で見るという印象が強いですが、ある時期を過ぎると、市内各地の田圃で採餌している姿を頻繁に見かけるようになります。
寝ぐせが特徴的なこちらの鳥はカシラダカ。福島では比較的簡単に見られるメジャーな冬鳥ですが、関東圏では絶滅危惧種としても心配されるほど渡ってくる数が激減しているそうです。よく似た仲間に更にレアなミヤマホオジロという鳥がいますが、私は1回しか見たことがありません。カシラダカを見ていると、ジョウビタキが近くに寄ってきました(笑)。
ジョウビタキの縄張り侵入罪で逮捕されたくはないので、失礼して針葉樹に目を向けると、レモンイエローの冬のアイドル、マヒワの群れがいました。個人的に冬鳥で一番好きな子たちです。
更にこの日はこんなレアな子たちの姿も!
感覚的にシジュウカラやコガラ、ヒガラに比べて圧倒的に見る機会が少ない気がします。頭を下にして、キツツキのように木を上下自由自在に走り回ることのできる彼らは森の忍者ともいわれます。よく注意していないと見つけることは困難です。
夏の赤い鳥と言えば、多くの人がアカショウビンを連想するのではないでしょうか?
でも赤い鳥は冬にも見ることができるのです。その代表格がベニマシコと呼ばれるこの鳥。漢字は紅猿子。言われてみれば確かに猿みたいな顔してますよね。フィ、フィッポという鳴き声がセイタカアワダチソウの草原の中から聞こえたら、間違いなく彼等だと思ってよいでしょう。
そして、この日一番驚いたのが…
一生のうち鳥のファンでも図鑑でしか見ることができない、或いは図鑑ですら姿を見ることもない人が恐らく圧倒的に多い、それほどまでに珍しい鳥かもしれないです。実家からすぐの里山周りにまさか寄ってくれているなんて。最初は夢でも見ているのではないかと思いました。だってこんな珍鳥見られるだけでも奇跡。それに普通ならカメラマンが殺到するのに、この日は私一人で1時間も独占して観察することができたのですから…。
他にもこの日はツグミや皆さんおなじみのスズメ、シジュウカラなどの姿もありました。また、シメやアトリといった嘴太めの鳥も観察できました。冬の里山ではこのほかにも数多くの種類の鳥を見ることができるので今から今年の12月が楽しみです。